2025年1月30日(木曜日)の、日本経済新聞の6面にある梶原誠氏の記事『韓流【Lゼロ】が招く危機』より。

2025年1月30日(木曜日)の、日本経済新聞の6面にある梶原誠氏の記事『韓流【Lゼロ】が招く危機』より。 『市場が望むのはシンガポールの建国の父であるリー・クワンユー氏だ。65年の独立以来、ミャンマーとは逆に国を開いた。 広い領土も資源もない小国を、世界有数の裕福な国に引き上げた。ポピュリズムに背を向け、政策の予見性を高めて外国からの投資を引きつけた。一人当たり国内総生産(GDP)は8万ドル以上に拡大した。 生前のリー・クワンユー氏と交流した米投資会社ブラックストーンの最高経営責任者であるスティーブン・シュワルツマン氏は、中華・マレー・インドと分かれる民族をまとめ、多様性という変化への対応力に変えたと、統率力絶賛した。「彼が5人いれば米国の分断は終わる」。米国が抱える問題の解を、その指導力に求める米投資家もいる。』 とある。記事の内容を否定はしないが、多少付け加えたい事もある。 まず、シンガポールの独立に関しては、当時のマレーシアにとって癌であったシンガポール地区が、マレーシアに切り捨てられ、泣く泣く独立をさせられたという背景がある。落ちこぼれ集団であるシンガポールをまとめ上げる手法として、リー・クワンユー氏がとった政治法が独裁制であった。300万程度である小規模の国家をまとめ上げるには効率の良い手法である。公共インフラ・金融・不動産関連の企業を全て国有化して、かつ合法的に支配出来るように自らと、リー一族の人間に企業のシェアを持たせたのである。また、現在の日本で言うマイナンバーカード制度を用いて、全国民の個人情報を掌握したのである。選挙の際に野党に投票した国民は特定され本人に限らず親族末裔まで冷遇するといった事も行い、合法的な恐怖政治を行っている。 コレにより、民主主義という名ばかりの、独裁制を敷いたのである。コレがシンガポールが『明るい北朝鮮』と呼ばれる所以である。 従って、米投資会社ブラックストーンの最高経営責任者であるスティーブン・シュワルツマン氏の言う『リー・クワンユー氏の統率力』は否定しないが、それがアメリカの分断を終わらせる可能性には疑問を投げかけざるを得ない。リー・クワンユー氏の政治法は、王政に限りなく近い独裁制であったからだ。 アリストテレスの言うように、規模の大きい国家・組織をまとめ上げるには、現時点においてはやはり民主主義が最善策で...