責任を取ると言う事の定義




責任を取ると言う事は、 


自分が成し遂げようと思っている仕事・目標に対して、それを妨げるかもしれないリスクがもし0・1%でもあるのであれば、それらを一つずつ潰していき、自分のゴールに限りなく100%に近づけるよう、「事前に準備をしてミスそのものをなくそう」と意識する義務感を持つ事である。 


     一度失われたお客様の時間は、現在の文明社会においては、取り戻す事は出来ない。もし時間を取り戻す事が出来るのであれば、我々の過ちによってお客様に不快感を与えてしまった時間帯を取り戻す事によって、責任をとる事は可能である。しかし現代の文明社会においてはまだそれが出来ない以上、本当の意味での「責任をとる」という事は不可能なのである。 


     事が起こってしまった後、つまり事後にお客様に謝罪をするなど何らかの形によって会社の誠意を示すという行為は、あくまでも「アフターケア」である。確かにアフターケアは非常に素晴らしく意義のある行為であり、これらの優れた行為によって、お客様の不快感や怒りが逆に、会社への愛情に変わるケースも数多くあるし、アフターケアに力を入れた事によって競争優位を確立した会社さえあるほどである。 


     しかしどれほど素晴らしい行為であるとは言っても、「アフターケア」は、あくまでもミスが起こるのが前提にある。もし、仮に全てのお客様を喜ばせる事が出来れば、つまりミスが一つもなければ、お客様に不快感を与える事はない。しかしそのような事は夢物語であって、現実はそんなに上手くはいかない。だからこそ「アフターケアを充実させて、一人でも多くのお客様に我々の誠意をお伝えしよう」ではなく、そもそものお客様からのクレームの原因である、我々のミスをなくす事を意識すべきであろう。 


     これは、逆転の発想でも何でもない。ごくごく当たり前のそして当然の考えであろう。ハインリッヒの法則から導き出された推定によると、不満を持っているお客様のうち、実際にクレームを言ってくるお客様は僅かに4%であるという。では、残りの96%の不満を持ったお客様はいったいどうするのか? 


     答えは単純である。飲食店で言えば、もう二度とそのお店には行かなくなるだけである。このデータを頭に入れた上で、次に示すA店とB店を比較してみよう。 


A店では不満を持ったお客様が100人いた。その中でクレームを言って来たお客様4人(4%)に対し、何とかまた御来店して頂けるように誠心誠意を尽くした。その間、96人のお客様を永遠に失っていた事を知らずに。 


B店ではこのような悪夢が自分達のお店で起こらない様にと、メンバー達が常日頃からミスをなくそうと意識した。ある種の義務感を持ちながら誠心誠意働き、不満を持つお客様の数を100人から10人に減らした。果たしてA店とB店のどちらがよりお客様に支持されるお店となるか? 


これはもう単純な確率の問題である。結果は言うまでもあるまい。もちろん皆様は間違いなく常日頃からミスをなくそうと意識されているだろうし、私も、皆様が日頃から手を抜いて働いているのではないか、と言っているのではない。あくまでも「意識」の問題であると述べているのである。例えば筋力トレーニングで言えば、同じ腕立て伏せをするのでも、テレビを見ながら腕立て伏せをするのと、三角筋・上腕二頭筋・広背筋を意識して腕立て伏せをするのとでは、筋肉のつき方が全く違うという。皆様のお仕事でも同じ様に、ミスをする前からアフターケアの事を意識するよりも、ミスそのものをなくす事だけに意識を集中させた方が格段にお客様に感動して頂ける確率は上がるであろう。 


つまり、真の起業家とは自ら進んでリスクをとる人間ではなく、失敗するかもしれない可能性を極限まで取り除き、限りなくゼロにする作業に命を懸ける人間の事ではないだろうか。 





Comments

  1. This is very good idea. I love the Japanese mindset.

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  2. 非常に内容の濃い記事ですね。全ての経営者に読んでもらいたいくらいですね

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  3. Our mentality and hospitality is really something to be proud of. And this kind mindset does meana lot whenit becomes management.

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  4. 非常に実践的な思考法で、参考になります。日本国内はもちろん、海外でのマネジメント経験が豊富な方のブログだなと、という感想を持ちました。「世界一のレストランの成功の極意」もアマゾンで購入させて頂きました。良かったです。

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  5. I admire the Japanese management style and ideas.

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  6. Japanese management ideas are very sensitive and effective, I think. I have few Japanese managers friends and they are all really good people.

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  7. とても参考になります。素晴らしい内容の執筆活動、ありがとうございました

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