サラリーマン社長の自己防衛反応
創業社長とサラリーマン社長の決定的な違い
創業社長とサラリーマン社長の決定的な違いは、物事を短期的な視点で捉えるのか、長期的な視点で捉える事が出来るのか、と言う事ではないだろうか。
サラリーマン社長の場合は、その任期があらかじめ決まっているか、その期限がそれほど長くはない事が多い。従って創業一族による経営体制の会社やオーナー社長の会社よりも、短期的な目線で会社を経営しがちになるのである。オーナー社長は自らが最大の株主である事が多い為、長期的な目線で経営判断を下す事が出来る強みがあるが、自分の任期が見えているサラリーマン社長は、どうしても短期的な目線での経営判断に陥ってしまう事が多いのである。
創業家なら10~20年、もしかしたら100年先まで考えて会社を経営している場合もある。しかしサラリーマン社長の場合は、自分が就任している期間だけをやり過ごせばよいという考えが優先するだろう。自分の成績表である決算報告書、更に短期の四半期決算を気にして経営判断を下すと言う事が普通になってしまう。
従って例えば研究開発などの先行投資案件を判断する場合などには、オーナー社長とサラリーマン社長とでは、その経営判断は異なってくるであろう。自分が退任した後の会社の成長が自分の報酬には影響しないのであれば、目先の実績や利益だけにこだわった方が果実を得る事が出来るからだ。
また、サラリーマン社長やその経営陣に対する株主などのステークホルダーの辛抱できる期間がそれほど長くないという事も影響している。特に海外投資家の多い企業では、その評価の期間が短く指標もシンプルに時価総額の最大化・株主還元の拡大を最重要視される事が多い。理由は、海外投資家は100年企業が世界で最も多く歴史や文化を重んじる日本とは文化が異なる為、自分たちの短期的な利益だけを重要視する傾向があるからである。そのような投資家に執拗に「会社の時価総額の最大化・株主還元の拡大」を要求されるのでる。また、社長の成績表となる四半期報告書も約三か月おきに発表される為、より短期間で結果を出す事に必死になってしまう。
しかし、業種によっては長期的な視点で設備投資や宣伝広告などの様々な種まきをしなくてはならない場合もあるだろう。また、短期的な数字には表れにくく決算書に表記できないような人材育成や労働環境改善などに関する投資もある。それらの投資の正当性を理論的に説明の出来ない社長や、2~3年の短期で利益を出してその企業の株の売却を考えている投資家が多い企業ではそのような経営判断は受け入れられない為、その社長や経営陣はすぐにクビの対象になるであろう。
従って、サラリーマン社長や経営陣は、長期的に見たら本当に正しい経営判断を下すよりも、自分の地位を守る為の短期的な経営判断を下す傾向にある。長年苦労して上り詰めた会社の社長や幹部としての高い地位や高額な報酬を、誰しも簡単には手放したくはないであろう。このような自己防衛反応が働くのは人間として当然の事である。
全くの同感です。
ReplyDeleteThe knowledge and experience of the author is amazing. I've been to Japan few times and always shocked with their hospitality standard. This blog gives you the idea of the Japanese hospitality and management
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