海外の社長と日本の社長の根本的な考えの違い 〜日本人の高い民度・民族性〜
海外の社長と日本の社長の根本的な考えの違い
アメリカのGAFAに代表される、一代で巨万の富を得た起業家の多くは、自分たちが死ぬ前にその大半を寄付すると宣言している。実際にNPO法人を立ち上げて様々な団体に寄付をしている。それも確かに良いだろう。
アメリカで巨万の富を得た起業家たちはその大半は、自分が所有する会社の株式によるものである。創業当時からその株価が何百倍や何千倍にもになった為、巨万の富を得る事が出来たのである。売り上げを伸ばし効率性や生産性を高めて、会社の利益を最大化する経営努力が実って、市場で高い評価を得る事が出来た事によりその株価が跳ね上がったのである。
創業者が「短期間」で巨万の富を得たかったら、会社として巨額の利益を生み出す必要がある。特に海外の起業家たちは「短期間」で巨万の富を得たいと願っている。早く起業して早く引退すれば自分の好きなようにその人生を楽しむ事が出来るからだ。そのためには「短期間」で企業価値を高めて株価を大きく上げて自分個人の資産を増やす必要性があるのだ。そして株価が跳ね上がったら株を売却して引退すればよいのだ。
「海外の起業家」にとっては、創業者が企業価値を高めて売却する事によって巨万の富を得る事が最大の目的である。
しかし「日本の起業家」にとっては、より多くの笑顔を生み出す事によって、より豊かな社会を生み出す事の方が大切なのである。自分の世代よりも自分の子供の世代・自分の孫の世代で輝く事の出来る企業を生み出す事が最大の目的である。
以前、日本経済新聞に非常に興味深い二つの記事があった。一つは世界の社長の年俸を比較した記事であった。そしてもう一つはアジア各国の国民の平均月収を比較した記事であった。世界の社長の平均年俸は当時の日本円で約11~12億円であったが日本の社長の平均年俸は約1~2憶円であった。そしてアジア各国の国民の平均月収は日本が約25~30万円くらいで、タイやインドネシアなどの国は約3~5万円であった。しかし、アジアで一番お金を持っているのは華僑のタイ人やインドネシア人なのである。日本で一億円持っていれば一般的には富裕層とされるが、タイやインドネシアでは10~20億円持っていても本当の富裕層とはされない。
どういうことか?単純に貧富の格差が激しいのである。では、何故このような事態になるのか?経済学者や政治家に語らせれば様々な理由が出てくるであろうが、此処はシンプルに分かり易く言おう。
例えば、会社の利益が100万円出たとしよう。社長と社員一人の小さな会社だ。貴方がこの会社の社長だとしたら、この利益をどのように分配するだろうか?日本人であれば7:3という意見が多いだろうか。気前の良い社長であれば6:4とするだろうか?いずれにしろ一定の利益を社員に分配しようとするであろう。理由や理屈では説明できない、これが日本人の文化であるからだ。しかし、タイやインドネシアでは事情が異なる。良くて9:1だ。経営者によっては99:1の場合もある。全ての人間がそうだとは言えないが、私の経験上ほぼ全ての経営者たちがこのような判断を下している。大袈裟に言っているのではなく、実際に私がお会いしたシンガポール・マレーシア・タイ・インドネシア・ミャンマー・ベトナム・インドなどの国々の政治家・経営者のほぼ全ての人間がこのように言っていた。そしてそのように実践していたのである。
こんな話は信じられないという方は、各国のインフラ事業・事情を見て頂けたら少しは信ぴょう性が出てくるだろう。一般的に発展途上国と言われるアジアの各国も、決して国にお金がないわけではないのである。先程述べた通り、タイやインドネシアの普通の富裕層ですら数十億円の資産は持っているのである。コレは相続税がないというのも大きく影響しているが、一番は事業の利益の取り分・賄賂の取り分や分配方法に最も大きく影響されているのである。
例えば、ある国で道路の新設事業として100億円の予算が出たとしよう。インフラ事業は大きな利権などが複雑に関わってくる事業なので、日本でも10億円くらいは誰かの懐に入るであろう。しかしコレは残りの90憶円が確実に道路の新設事業として使われるようにする為の手数料・コンサル料・フィクサー料ともいうべきものなのである。しかし、これが発展途上国だと話は違ってくる。いろんな人間がいろんなところで自分勝手に利益を求めてくるので、90憶円くらいは誰かの懐に入ってしまい、残った10億円くらいが実際のインフラ事業に使われる事になるのである。もともと100憶円必要な道路の新設事業で10憶円しかなかったら、まともな道路は出来ないし、完成する事も難しくなるのは目に見えている。この例えは、道徳的に良い悪いとか、法的に許されるとか許されないとか、というレベルの話ではなく、非常に理論的というか実際に行われている事であり、現実的な話なのである。
では何故、日本人はもっと私腹を肥やす事が出来るのにそうせずに、発展途上国の人間は限界まで私腹を肥やそうとするのであろうか?これは単純に、見ている視野の広さ・景色の違い・民度の差である。発展途上国の人間は、「自分が幸せになりたい」「自分が金持ちになりたい」という欲求がまず心に浮かぶのである。(詳しくは第三章のマズローの五段階欲求の説を参照して頂きたい)つまり自分、(良くて自分の家族まで)だけが裕福であればよいという思想なのである。
しかし日本人の思想は異なる。日本という国は世界で一番長い2700年近い歴史を持つ国である。この長い歴史から日本人は、目先の個人の利益を優先させるよりも、周囲の多くの人間と利益を分け合った方が、結果的に自分もより豊かな人生を送れるようになり、自分の子供・孫・近所の人々・友人・100年後の自分たちの子孫までもがその豊かな生活を享受できると言う事を本能的に知っているのである。また、長期的な視点で物事を捉え、自分だけではなく周囲の人間の生活環境を改善する事が、お互いの人間性を向上させ、より高度な社会・より民度の高い豊かな国を築く可能性を高めるのだと言う事を理解しているのである。
The knowledge and experience of the author is amazing. I've been to Japan few times and always shocked with their hospitality standard. This blog gives you the idea of the Japanese hospitality and management
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